現場で着せながら針糸を……重宝しています。
着付けながら、針と糸を使うと、余分な動作が多くなり時間がかかります。
そこで、「裁縫スタンド」が生まれました。
舞台裏で着付けていると、周りの人が珍しそうに見て、「スゴイ」と言って頂ける、やや大きめの小道具です。
三本(白・黒・赤)の針糸が引き出されて、上部には(クローバー製の糸通し器)が装着されています。
スタンドの中にある「三段の棚板」は強力な磁石で、上の一段目は「針山」になり、あとの二段は「ハサミ」「安全ピン」などをこぼさないようにしています。
写真は、中身を入れる前の、完成したてのスタンドで、二組で一つに合体したスタンドになっています。
このスタンドは昨年、岡山県の古谷野先生の所に、お納めさせて頂いたものです。
前々回のブログ、「裁縫スタンドに見事なトールペイント」は、これと同じものにトールペイントされた、山口県の川口さんのものでした。

 

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針糸なしには、出来ない仕事です。小さな裁縫セット編
日本舞踊の着付けには、針と糸の仕事が多く、裁縫箱は必須アイテム。
基本的には、赤・白・黒の三色で縫ったり固定したりします。
日本舞踊の場合は、動きが激しく、きものの部位によっては、きっちり固定しないと崩れてしまいます。
使いやすい裁縫セットをつくって、作業の円滑化に繋げていきます。
ここでご紹介したのは、片手で持って移動できる、小さなスケールのものです。
 

上の段の円筒状のものは、木製の三色の糸巻きボビンです。
下の裁縫箱の中にも、同じ円筒が入っています。

 

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見事に「映え」しました。
山口県で、「日本舞踊の着付け教室」を開いている、川口先生の裁縫スタンド。
出来上がった時には、白木の味気ない裁縫スタンドでした。
着色した所は、取手が付いている正面の赤い色だけ。
川口先生のお友達が、「トールペイント」で描いて下さったそうで、見事な出来栄えです。
スタンドを作った私たちにとっては、その作品に一日も早く出会いたいと思っているところです。

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藤娘、鷺娘など早変わりの必須アイテム
歌舞伎や日本舞踊の中で、演者の瞬間早変わりに使われる秘密兵器のひとつ「帯止(おびと)」。
藤娘、鷺娘などの早変わりは有名です。(詳しい解説は後に譲るとして)…

昔は、土台を支えるU字型の部分を、細い「藤」を曲げて作っていたので、「帯籐(おびとう)」とも言われていました。
「きつけ塾いちき」では、30年前から、「藤籐」の代わりに「プラスティック」製の「帯止」を制作して使っています。
現在では、「帯止」を販売している所もなく、現場の衣裳方のオリジナルに任されています。
「きつけ塾いちき」では、一般売りもさせて頂いておりますので、お問合せ下さいませ。


写真の右側が「帯止」、左側は帯止の「制作器具」。

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手先を引き抜きます。最後は「ヘラも使って
角帯や半巾帯などの帯結びで、指を使って手先を引き抜くと、帯がゆるんで結びがしっかりしません。
そこで「引き抜きスティック」の登場です。

例えば角帯の一文字の場合、帯結びを済ませ、最後に手先を引き抜いて処理します。
その時にこの「引き抜きスティック」を、帯の後ろ板の身体の側に差し込み、スティックに付いた輪の中に手先を入れて、下の方に引き抜きます③~④
こうすると、帯もゆるまず、きれいに仕上がります。(袋帯の場合も同じです。)
最後は、前回の「ヘラ」を使って、引き抜いた手先を内側に巻きながら、帯の中に入れ込んでいく⑤~⑥ときれいに出来上がりますよ。「
きつけ塾いちき」の衣裳方にとっては、必須アイテムです。

 

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シワを取り・寸法を取り・巻いて始末する
5年間乾燥した竹を、衣裳方が一本一本削り仕上げた、長さ30㎝の「着付けヘラ」です。
作り始めたのは30年前の事です。
ヘラの表面は、衣裳の生地を傷つけないように、磨き上げていきます。
握りの部分は麻の紐で仕上げて出来上がりです。
このヘラは、日本舞踊だけでなく、全てのきもの着付けにおおいに役立つ、手放せない相棒です。
みなさんもご自分の腰に、
滑りと粘りのある「ヘラ」を携帯しませんか。


竹製のヘラ

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「本当のつの出し」を身につけたくて
ある受講生は、「踊りの着付けをお手伝いしていますが、本当のつの出しを身につけたくて、きつけ塾いちきの講座に入りました。」
それから、
学び続けて約10年。今では山口県で、自らが「日本舞踊着付け専門講座」を主宰しています。
舞踊の会で、裾引きが出来なくて
日本舞踊のお師匠さんから、ときどき着付けのご依頼を頂きます。
着付けたあと、お師匠さんから、「何かが違うのよねえ。」とよく言われます。
その日は裾引きの御依頼があり、うまくいかず、インターネットで検索して「きつけ塾いちき」に辿り着きました。これから基本を学び、粋なプロの技術を身につけて参ります。
花街の芸妓さんも、多く学んでいます。
九州の嬉野温泉の芸妓さんや、東京の向島の芸妓さんからのご依頼で、お教えさせて頂いています。
これまでに、向島の芸妓さんからご依頼があり、「出の衣裳(黒留袖の裾引きに柳結び)」の着付け指導をさせて頂きました。また、佐賀の嬉野温泉の芸妓衆は踊り専門の着付けを学んでいらっしゃいます。
お師匠さんに着付けを!
ある流派のお弟子さんが、お師匠さんにきれいに着せてあげたくて学んでいらっしゃいます。
特にお祝儀舞いに着せる、「後見」や「一文字、文庫」などを中心に学ばれます。

このように、学ぶ理由もさまざまです。
言うまでもないことですが、講座の雰囲気は明るく、時代考証(歴史)を学びながらの講座2時間は、実に楽しいものだとお考え下さい。

浅草講座の教室風景(浅草西会館 写真下)

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今年は、より深く学べるように
2024年、1月新年の「日本舞踊着付け専門講座」は、広島と福岡で行われます。
「きつけ塾いちき」スタッフ一同、これまで以上に、より深く学んでいけるように努めてまいりたいと思います。
1月30日(火)広島が2講座。31日(水)と2月1日(木)の2日間の福岡は4講座。
合計6講座になります。

1月度の浅草講座は、お休みです。
2024年1月の浅草講座は、お休みになっています。
浅草講座は2月から、これまでの「日本舞踊専門着付け」に加えて、「和装花嫁着付け専門講座」も新たに開講されます。
浅草の今年最初の特別講座は、2月14日(水)から15日(木)の2日間で3講座の予定です。

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文明開化の下で花開く、おしゃれな「帯〆」の文化
「帯〆」は、「組紐」で出来ています。
それまでの時代…組紐の使われ方は、武家や公家の支配層の文化そのものでもありました。
例えば、甲冑など、武具の構成部分の繋ぎや、書類を収める「文箱(ふばこ)」、日本刀の「飾りや下緒」、十手の「房」、鷹匠の「繋ぎの紐」など、およそ一般庶民とは無縁の文化でした。
しかし、明治維新という天下の大転換は、「廃刀令」とか「帯刀禁止令」と言われる禁止令で、侍の魂と言われる「刀の保持」を禁止したのです。侍は丸裸状態。
それまでは、侍のおかげで生活が成り立っていた「組紐」を生業としていた人々は窮地に立たされます。
そこで考えられたのが、現代に続く、おしゃれな「帯〆の文化」です。

しかし、「帯〆の文化」の花が咲くのは明治も後半になるのです。
それまでは、「丸くげ」と言われる綿を仕込んだ筒状の紐が主流で、組紐の帯〆の使用は一般的ではありませんでした。
ですから、江戸時代の「関東芸者の柳」や、「関西芸者のつの出し」なども、勿論帯〆は使いません。

但し、江戸時代の後期に、亀戸天神の「太鼓橋の渡り初め」で、深川の芸者衆が、柳結びを工夫して、現在の「お太鼓結び」で渡ったと言われていますから、お太鼓が崩れないために、紐が登場するのでしょうが…。
組紐が一般的になるのは、大正時代になってからだと思われます。

話の枕が永過ぎました。
そんなわけで、つの出し結びは江戸時代の帯結び。
古典舞踊の踊りに帯〆を使うのははふさわしくありません。
昭和の戦後に登場した六通の帯と、大正時代に始まった、大好きな帯〆で、「江戸時代のつの出し」を結んでと言われると、困ってしまうんです。

でも、六通では結べないのに、喜んで頂くので、結ぶ  ❣  のですが、…(つづく)

広重の江戸百景「亀戸天神境内」お太鼓橋が見えます。

 

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一年間お世話になりました。
今年も暮れ行く年の瀬、時の流れを早く感じる年になりました。
皆々様には、一年間お世話になりありがとうございました、
着付け教室を始めた、昭和55年(1980年)からもうすぐ44年目を迎えます。
着付け教室の分野といっても様々ですが、私共は、「浴衣の着付け」から「十二単」まで、すそ野は広いのでございます。
帯〆を使わない「つの出し」
その中には、「和装花嫁の着付け」や「日本舞踊の着付け」などは十八番(おはこ)にさせて頂いております。
これら時代物の着付けには、時の流れで作られてきた「歴史そのもの」みたいなところがございます。
例えば、日本舞踊の古典の演目などで結ばれる帯結びで、「つの出し」がございます。
この帯結びは、帯〆を使いません。
帯〆が登場するのは江戸末期の事です。(黒船来航の頃です。)(つづく)

つの出し結び

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